お知らせ
2020/11/16
- 教員紹介
教員紹介「教えて!先生」人間福祉学部 高木 美也子 教授
人間福祉学部 人間福祉学科
高木 美也子教授
主な担当科目
生命と倫理 社会と環境 社会と先端医療
先生に、いろいろ聞いてみました!
先生は、どのようなきっかけで教育者になられたのですか?
大学で取り組んでいた研究が面白くなってしまい、ずっと続けていた結果として、教育者になっていました。
日本の大学で理工学部化学科を卒業後、フランスの大学院博士課程(生化学)を修了、帰国してから大学の助手、講師を経て教授になりました。最初に青山学院大学、東横学園女子短期大学、次に日本大学、そして東京通信大学。だからずっと大学で先生をしています。昔から先生になろうと思っていたわけではないのですが、優柔不断で進路を決められなかった時、取り組んでいた研究が面白くなったので、ずっと続けています。研究以外にも、学生時代はテニスサークルに所属したり、社会問題に興味を持って学生新聞で記事を書いたりもしていました。
多くの大学で教壇に立たれた先生が考える、東京通信大学の魅力は何でしょうか?
自分の空いた時間にインターネットで講義を受け、しかも大卒の資格が得られる、という点が素晴らしい。
時間的制約のある社会人学生にとって、「通学する」のは大変です。その点、インターネットで約15分ごとに区切られた講義を、自分の空いた時間で取り組んで、大卒の資格が得られる、というのは素晴らしいことです。昨今は新型コロナの影響で、通学制でもインターネット授業を導入している大学は多いようですが、慣れていないせいなのか、学生からの不満を耳にします。しかし、東京通信大学は元からオンライン上での学習を前提として、学習システムと授業を構成しているので、今回の状況下でも何ら変わらず授業を受けられるのは、大きな利点だと思いますね。
先生が現在取り組まれている研究テーマについて、教えてください。
テーマは「対話ロボットによる高齢者の会話促進システム開発及びQOL向上の研究」です。
東京通信大学には人間福祉学部と情報マネジメント学部があるので、2学部にまたがる研究テーマとして、介護現場における高齢者とロボットの関係を調査することにしました。新型コロナの影響で高齢者施設への立ち入りは難しくなりましたが、ロボットを使った高齢者の感染予防に役立つクイズを作成し、出入りの許可を得て、研究進行中です。高齢者の方々は、一生懸命、クイズに取り組み、終了後のアンケートでは、クイズは楽しかった、ロボットの解説はかわいかった等の感想を得ています。
先生はオフを過ごしている中で、ご自身の研究を意識してしまうことはありますか?
新聞や雑誌などで「ロボット」関連の記事を見つけるとつい読んでしまい、オンオフの切り替えができていません。
新聞や雑誌で「ロボット」や「介護とロボット」に関する記事を見つけると、つい読んでしまいます。「ロボットが生活に取り入れられている」という記事をよく目にしますが、研究を通して感じるのは、ロボットはまだそこまで到達していないということです。例えば「コミュニケーションができる」というロボットも、クラウドを介して会話するため時差が生じて、質問の返事がかなり遅い。そのため、高齢者がイライラして会話が成り立たない。現時点でのロボット利用は、会話などの双方向ではない利用法を模索することが必要です。
先生が担当する科目の中で、特に魅力的な科目を1つ教えてください
学生からの質問や反響も多い「社会と先端医療」です。
世の中に登場する新しい医療は、私たちとどう関わってくるのか、何がどう変わってゆくのかを解説して、その新しい医療への取り組みを考えていく科目です。新しい医療の安全性や有効性などを見極めながら、社会にどう根付いていくのかを解説して、みんなで考えていければいいかな、という授業にしています。特に、今は新型コロナによる「巣ごもり」の影響からか、学生自身の個人的な体験と絡めた質問なども多くあり、より深く考える機会を持ってくれたのかもしれません。
先生の「コレがお気に入り!」
パリ第7大学・レストランの小皿
大学には給料を得ている人だけが利用できるレストランがあって、奨学金を受けていた私も給料を得ている扱いになり、そこで食べられたんです。教授から奨学生まで利用できるのですが、得ている額によって同じメニューでも支払う価格が違い、私は奨学生として一番安く食べられました。なぜ小皿かというと、何か思い出になる物がほしいと探した時に、「Paris」と「Science」の両方(パリ第7大学を表した単語)が書いてある物は大学で見当たらなかったんです。そこでレストランの小皿を思い出し、断って頂いてきました。
『二重らせん』(ジェームス・D・ワトソン)
DNAの二重らせん構造を発見したジェームズ・ワトソンが書いた本。一般にこの種の本は科学的に終始しますが、この本は二重らせんの発見やノーベル賞受賞までの経緯を人間ドラマとして書いていて、それが面白いんです。例えば、ある女性の科学者が公表していたX線結晶構造解析のデータについて、質問したかったけれど「そんなこともわからないんですか?」と言われそうで質問できなかった、とか。ある科学者と議論をするきっかけを作るために、美人の妹を近づけ、その後で自分が話に入る、など。固い話ばかりではなく、面白いエピソードもちりばめられている、興味深い本です。
近未来の遺伝子操作社会を描いた映画『ガタカ』
遺伝子操作で生まれた優秀な人たちと、自然に生まれた遺伝子的に劣る人たちが、完全に区別される社会が描かれている映画。自然に生まれた人は、その未来社会では絶対に上級な立場には立てない。そんな社会で、自然に生まれた主人公が、遺伝子操作で生まれた人の中にうまく紛れ込もうとする話です。今のところ現実にはまだ起きていませんが、近未来社会では起こるかもしれないような世界観で、遺伝子操作はどこまで行っていいのか、倫理で止められるのか、など問題提起をしている映画です。
amitié(友情)
やはり友情が大事。人生の基本だと思います。例えば今の研究においても、参加している先生は複数いますが、全員一体となって取り組む中で、ある程度友情のようなものもないとうまくいかない。それぞれの研究パートを分けたりする時も、あるいは研究以外でも、何にしても友情は大事だと思っています。
先生から、学生のみなさんへ。
世界の様々な問題に興味を持って、「学ぶことは楽しい」ということを実感してほしい。
世界には様々な問題があり、それに対処するための見方、考え方も様々です。そうした問題には、一般的な常識では判断できないことがあるのを知る度に、興味を抱きます。学生の皆さんにも、そうした世界の様々な問題を知り、興味を持って、「学ぶことは楽しい」ということを実感してほしいと思っています。
※プロフィール等の記載内容はすべて2020年9月取材当時のものです。
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